偶  感

 P 木 村  延 彦

月日が流れるのは誠に早いもので、終戦後早五十八年も経過しているわけである。現在の日本において、我々は正に平和の有り難さをひしひしと体感している今日この頃である。思えば、喜寿に近い年齢になり、こうして安穏に毎日を元気に暮らせるのは健康な体あってのことであり、両親からこの健康を受け継ぐことができたことに心から感謝する次第である。 

昭和十九年十月、当時の国防色の学生服姿で、品川の海軍経理学校の校門を緊張してくぐったことが、今でも、走馬灯のように時折ふっと思い出されることがある。 

  わだつみの さきもり目指せし 若き日を

   想ひて懐かし 老いの坂から

ところで、現役で仕事をしていた頃と違って、最近では自分の趣味である囲碁を週二日、地域の同好会のメンバーと楽しんでいる。囲碁はボケ防止に極めて良いと同好者同士で自画自賛しているわけであるが、時折困難な局面になり、その打開に苦吟することもあり、必ずしも泰平安楽のみではない。たしかに囲碁は実に千変万化の連続であり、相手の碁風や対応の妙により、局面が予想もせぬ方向に流れることもあるので、先々の変化を読み取るのに相互の棋力の差が自ずと出るわけである。剣道の「打って反省、打たれて感謝」という勝負を超越した清澄廉白な境地に到達したいものと願っている。

 

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